アメリカの食に対する取り組みとは?MyPlateとは?食育とは?CSA運動とは?

日本での食に対しての取り組みや、日本食のすばらしさなどをご説明してきましたが、海外はどうでしょうか。
特に、ファストフードやコーラなどの甘い飲み物をよく飲んでいて(偏見ですが)、肥満率もかなり高いイメージのアメリカではどんな取り組みがなされているのか知っていますか?

何もしてないから肥満率が上がっていると思われがちですが、実は、アメリカでも国民に対して健康を促す取り組みがあります。

今回は、そんなアメリカにフォーカスして、ご紹介いたします!

 

MyPlateとは?アメリカの肥満率を見て


MyPlateとは、アメリカの農務省(Department of Agriculture、USDA)と保健福祉省(Department of Health and Human Service)が、「アメリカ人のための食生活指針2015-2020」に基づいて、健康的な食事パターン実践のための一般向けツールとして、作成されたものです。
2011年から利用され始めました。

肥満や生活習慣病を予防、改善するために、どのような食事をすれば良いのかを分かりやすくイラスト化したものです。

赤色:果物
緑:野菜
紫:たんぱく質
茶色:穀物
青:乳製品

と色分けして、望ましいバランス面積で表しています。
日本で言う、一汁三菜のような指標ですね。

アメリカでは1992年に発表されたFood Guide Pyramidが有名ですが、

これを更にシンプルにしたものがMyPlateです。

My Plateの発表会では、オバマ前大統領夫人がプレゼンターとなり、話題となりました。
「毎日の食事をより健康的に変えていくために、シンプルで分かりやすいガイドラインが必要だ。1日の仕事を終え帰宅したときに、ほとんどの人は家事や育児で忙しく、栄養学者と同じように食事の準備するのは難しいだろう。でも子供のお皿を見る余裕はある」とオバマ前大統領夫人は説明しています。

My Plateは、とてもシンプルで分かりやすいものですよね。

では、アメリカ国民全体の肥満率を知っていますか?
2015~2016年の報告では、成人の肥満率は39.6%と3人に1人以上が肥満、2~19歳の肥満率も18.5%と、5~6人に1人が肥満という結果があります。
米国の肥満率が過去最悪を更新、「標準」が少数派に
日本の成人の肥満率は4.5%、22人に1人程度なのに比べると、アメリカの肥満率はかなり高いことが分かります。

以前、日本人とアメリカ人の野菜の摂取量の違いは?でご紹介いたしましたが、アメリカ人の方が野菜の摂取量が高いのに、肥満人口は日本の7~8倍です。
これは偏った食事をしていて、バランスの良い食事がとれていないことが原因だと考えられます。
和食と違いカロリーの高いものが多く、ファストフードの利用率も日本と比べると高めです。

しかし、アメリカ政府は肥満率を下げるために、成人の肥満率を15%に抑えることを目標にしています。
My Plateをしっかり理解、一人一人が健康を考えることで、自然とバランスの良い食事をとれるようになると思うので、この呼びかけは良いことだと感じます。
また、イラストになっているので、子どもも分かりやすいのもポイント。
子どもの場合は大人がしっかり教えてあげて、バランスの良い食事をとれるように教育、学校などでも食育をもっと推進していけば、肥満率は下げられるのではないでしょうか。
親子で楽しく食事をしながら、学んでいけるのはいいですよね。

 

食育とは?


様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることを食育と言います。

日本では、学校教育の一環で、
生産者や給食を作ってくれた人に「かんしゃの手紙を出そう」
「地域に伝わる食べ物を大切にしよう」「地域に伝わる食べ物や行事食を調べてみよう」
といった、生産者とのつながりの大切さや、地産地消が取り上げられています。

風土や伝統文化との関連性の中で、地産地消の重要性を強調しているということですね。

他にも、埼玉県のほぼすべての学校の給食は、地元の農家や直売組合との契約を通じ、地元野菜が学校の給食の食材として使われていたりと、様々な取り組みがされています。
以前、フードマイレージについて説明しましたが、地産地消であれば、運ぶ距離も短くて済みます。
健康のこと、環境のこと、その地域のことを考えた素敵な取り組みです。

 

CSA運動とは?


アメリカで1990年頃から始まった、地域の家族農業経営を応援し、農村環境を保持しながら、地域社会を維持しようとする運動のことです。
Community Supported Agricultureの頭文字をとって、CSAと名付けられました。

消費者が作付け前に一年分の農産物を前払いで購入することにより、不作の場合のリスクも生産者と共に負担するという仕組みで、現在12,000以上の組織によって展開されています。
しかもなんと!主にオーガニック野菜が消費者の元にやってくるんです!

元々は日本の産直運動をモデルとしたものですが、産直の場合は遠隔地まで出荷しますが、CSAは異なります。
農場に自ら取りに行ったり、ピッキングポイントと呼ばれる場所に取りに行ったりするので、無駄なCO2の排出もないので、環境にも優しいんです。
無駄な買い物も減るので節約になりますし、ゴミも減らせます。

日本でも、なないろ畑農場(神奈川県大和市)、メノビレッジ長沼(北海道長沼町)、ソフィア・ファーム・コミュニティー(北海道本別町)など、わずかですが実施しています。
CSA(地域支援型農業)導入の手引き

 

 

地域が支える農業、地産地消的な取り組みなので、どんどん日本でも広まっていってほしいものです。
ワイルドクラフトのものに関しては、この取り組みは難しいかもしれませんが、私たちの住む地球のこと、地域のこと、自分の体のことや家族のこと・・・
そんなことを考えた時に自分が何を選択するべきかがなんとなくでも分かってくると思います。

 

まとめ
●アメリカでは国を掲げて、バランスのいい食事を推奨している。
●地産地消が食育にも繋がる。
●オーガニックやワイルドクラフトのものを選ぶことは住んでいる地域、地球、健康に繋がる。

 

自分が食べるものを全てオーガニックやワイルドクラフトにするというのは難しいですし、正直できないと思います。
だからこそ毎日食べるお米だけでも変えてみるとか、サラダのメインの野菜を一つ変えてみるとか・・・
そのような意識は大事です。
きっと、何かいいことをしている気分になれますよ。

日本のオーガニック市場とは?遺伝子組み換え食品とは?フードマイレージとは?

最近ではよく見かけるようになったオーガニックの野菜、まだまだ見かけることは少ないワイルドクラフトの野菜。

またどこでも買えるものではありません。
でも、どうして選ぶ人が増えてきているのでしょうか。
今回は、食に関して是非頭に入れておいていただきたい問題をご紹介いたします!

 

オーガニック基準の始まりとは?


1974年から複合汚染という新聞連載のおかげで、有機農業が広く紹介され、有機農業を始める生産者や有機農産物や自然食へのニーズが増え、それにより、消費者が加わった有機農業運動や提携運動が展開され始めました。
有機農家との提携は、商品の産地直送やものの売買だけでなく、人と人とのつながりを築くことが目的となり、作る人と食べる人が、お互いに立場を理解し、助け合う関係を目指しています

そして、1980年頃から、環境問題や食の安全性に関する問題意識を持つ人が増え始め、オーガニックや自然食品を扱う宅配業者や自然食品店が増え、スーパーやデパートでも普通に購入することができるようになりました。
1990年頃には大手量販店でもオーガニックのコーナーが常設されるようになり、一気にオーガニック市場が広がりました。
しかし、この時はまだ栽培方法や基準が明らかになっておらず、国際基準に合ったオーガニック基準を持つ必要があると考え、2001年より有機JAS認証制度をスタートさせ、第三者機関による検査認証が行われることにより、客観性がもたれるようになりました。
コンビニもオーガニックに関心のある人や健康志向の人をターゲットにした店舗ができました。それがナチュラル・ローソンです。
2017年7月末時点では144店舗あります。
このようにオーガニックがどんどん身近になってきているんです。

 

フードマイレージとは?


フードマイレージとは、食料の重量×輸送距離で計算される、どの程度、環境に負担をかけているかを示すものです。
まだまだ純国産のオーガニックのものは多くはありません。
海外で生産されたオーガニック野菜も、正真正銘のオーガニックですが、輸送される際に、CO²が排出されます。
それが本当に環境のこともきちんと考えたオーガニックと言えるでしょうか。

前回の記事でもご紹介しましたが、旬のものをその旬に食べることはもちろん、産地をよく見て近い所のものを買うことはとても大事です。
その土地の、旬のものではないものは、ビニールハウスなどで栽培する時、輸送する際にもCO²が排出され、環境に影響を及ぼしています
自分が良ければいいと思わず、買う前には環境のことももう一度よく考えて買いましょう。
また、コストや手間がネックとなり、認証を取れないところもあるのが実情なので、認証マークがついているから安心と言わずに、本当の価値に基づく判断をすべきです。

 

特別栽培農産物とは?


特別栽培と書かれていると、いいイメージを持たれると思いますが、特別栽培農産物とは、各地域における化学合成農薬や化学肥料が50%以下で栽培された農産物のことを言います。
その地域によって使用する化学合成農薬や化学肥料の量は異なるため、50%以下と言っても少し曖昧なような気がします。
化粧品でいう、自然派化粧品、無添加化粧品とオーガニックコスメの違いのようなイメージですね。

 

遺伝子組み換え食品とは?


スーパーで食品を買う際によく見かける「遺伝子組み換えでない」という表示。
生物の細胞から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、植物などの細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質をもたせることを遺伝子組み換えと言います。
なぜ問題になったのかと言うと、遺伝子組み換えのホルモンを打たれた乳牛のミルクは人間の大腸、前立腺、乳がんのリスクを高めたり、遺伝子組み換えの豆は、深刻なアレルギー反応を引き起こしているという結果が出たからです。

現在、日本国内では遺伝子組み換えの作物は商業用には栽培されていませんが、アメリカ、ブラジル、アルゼンチン、インド、カナダでは、主に大豆、とうもろこし、わた、なたねが栽培されています。
日本では栽培されていませんが、油や醤油などは、遺伝子組み換えの原料が入っていても、表示する義務がないので、混入している可能性があります。(キャリーオーバーと言います。)
知らず知らずのうちに、食べているかもしれないと思うと怖いですね。

確実に遺伝子組み換え食品を避けたい場合は、オーガニックやワイルドクラフトのものを選ばねばなりません。

 

グリーン・コンシューマー習慣とは?


この言葉を聞いたとこのある方は少ないように思えます。
例えば、エコバックを持ち歩くこと。
スーパーで買い物をした際に、エコバックを持っていけば袋代をキャッシュバックしてくれたり、ポイントとして還元してくれるお店が多いですよね。
ゴミを減らすことは、環境保全に繋がるので、買い物に行く時には鞄に一つエコバックを入れておく習慣をつけましょう。

また、賞味期限の近いものを買うこともそうです。
まだ食べられるものが廃棄されると思うと、とても勿体ないことです。
時間が経っているので、風味や鮮度は落ちていますが、まだ食べられるものをお安く買えるなんて逆にお得だと考えられませんか?
何日か前に買っておいて、冷蔵庫に保存していたら同じことです。
どちらも節約にも繋がるので、私たちにとっても環境にとっても素晴らしいことですね。

 

まとめ
●CO2排出を防ぐためにも、住んでいる土地のもの、その旬のものを買うように意識する。
●発がん性やアレルギーの危険性のある遺伝子組み換え食品は控える。
●ゴミ削減のためにエコバックを使い、賞味期限の近いものを買うように心がける。

 

ワイルドクラフトは認証もなく、きつく言えば自己責任で選ばなくてはなりません。
しかし、地球にやさしい栽培法であり、昔ながらの伝統栽培法。
土壌の微生物の活発な働きによって生命力が溢れ、栄養価が高いと言われ、野菜本来の美味しさを味わえます。
人と環境に本当に優しいものはワイルドクラフトなのではないのでしょうか。

どこで買えるのか分からないという方は、こちらに載せているので参考になさってくださいね。