マクロビとは?一物全体とは?身土不二とは?クリーンイーティングとは?

少し前からマクロビと略し、よく耳にするようになりました。

コンビニなどでもマクロビのお菓子などが並んでいるので、一度は口にしたことがある方も多いのではないかと思います。
今回は、お肉やオーガニックやワイルドクラフトの野菜を取り入れた、健康志向、意識の高い食事法の考えだと思われがちですが、それだけではありません。
今回は、知ってるようでよく理解できていないマクロビオティックについてご説明いたします!

 

マクロビオティックとは?


マクロビオティックとは、マクロ(Macro:大きい)+ビオ(bio:生命)+ティック(tic:術、学、偉大なる生命)を意味しています。
陰陽のバランスから、できるだけ肉や乳製品などを除いた全粒穀物、旬の野菜、豆類、海藻類を主体とした日本型の食事
基本的な考え方として「一物全体」「身土不二」のキーワードのもと、四季の移り変わりや体調に合わせて、食材を選び、味付けや調理法を調整する食事法のことです。

大事なポイントとして、食事の摂取量の割合があげられます。
一日の食事量の40~60%をオーガニックやワイルドクラフトの全粒穀物でとり、副菜は野菜や豆類、海藻類を使います。
野菜は一日の食事量の25~30%、汁物は食事量の5~10%を目安としています。

 

一物全体(いちぶつぜんたい)とは?


食材を余すことなく丸ごといただくことを意味しています。
仏教用語で、食材は丸ごと食べることで、体を構成している栄養素と同じ比率を摂ることができると言います。

江戸時代にこんな話があります。
殿様は大根の身の部分を食べ、下々の者に葉や皮を与えていました。
身の部分の方が、一見、栄養があるように思いますが、長生きするのは身以外を食べていた下々の者。
むしろ、身の部分を食べていた殿様は栄養失調で早死にするケースが多かったというんです。

大根は、身の部分はデンプン、皮はポリフェノール、葉にはミネラルやビタミンが豊富に含まれています。
デンプンは、ブドウ糖の集合体で、エネルギーの供給源として優れた物質ですが、いつも身ばかり食べていても、これではバランスが取れなさすぎます。
現在の日本人の食事も、ビタミンとミネラル不足だと言われています。
ビタミンやミネラル不足の食事を続けていると、栄養バランスが偏り、健康的な体を維持できなくなってしまいます。
昔は食べるものが、今みたいに多くはありません。
偏り過ぎれば、栄養失調になるのは当たり前のことです。

栄養は量を多く摂るのではなく、栄養素を多く含んだ完全栄養素、つまり質を摂ることがポイントで、体のバランスを取るのにいいんです。

昔は「手一束」と言って、手の一つかみの中に入る小さな魚を、皮、骨、頭全て残さず食べていたと言います。
魚を丸ごと一尾食べるのが、もっとも人の体を構成する栄養素と近いバランスのとれたものだったからです。

 

身土不二(しんどふに、しんどふじ)とは?


人間の身体と大地は分けることができない一体のものということを意味しています。
自分が生活している地域で採れた食材を旬の時期に食べることで、必要とする栄養成分を自然に取り込むことができると言います。

1907年に、陸軍薬剤監の石塚左玄を会長とした食養会は、食事で健康を養うために独自の理論を展開しました。
その五年後、1912年に食養会理事で陸軍騎兵大佐の西端学が、地元の食品を食べると身体に良く、他の地域の食品を食べると身体に悪い(地産地消)と解説、食養会独自の大原則として広まりました。
これが身土不二の考えの始まりのようです。
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陰陽のバランスとは?


中医学の基本となる考え方です。
陰陽説とは、人間を含めた宇宙のすべての現象は「陰」と「陽」の二つの相反する性質に分けられて、互いに作用しあっているという考え方のことです。
(例:天と地、冷と熱、暗と明など。人間では女性が陰で男性が陽、お腹が陰で背中が陽。)
陰と陽の調和がとれていれば、自然も人間も穏やかで平和な状態が保たれると言います。

動物性食品は陰性で、卵などは極陽性、魚介類は卵や肉よりは弱い陽性となります。

季節も陰と陽に分けられています。
春から夏にかけてを陰、晩夏から秋冬にかけてを陽としています。

旬の食べ物を季節に応じた調理法で料理して食べることで、バランスをとります。

話は少し逸れますが、陰陽五行説という言葉を聞いたことがあると思います。
陰陽は先ほどご説明した通りですが、五行も人間の生命活動にも深く関連付けられており、人間の体や感覚も五行に当てはめ、体調や病状を判断する基準としています。

人間の体を「五臓六腑」と言いますが、
五臓とは、肝臓、心臓、腎臓、肺、脾臓のことを、
六腑とは、胆のう、小腸、胃、大腸、リンパ系、膀胱のことを指します。
(五行説ではリンパ系を除いて五腑としています。)

感覚も五感と言われ、五感以外で感じることを「第六感が働く」なんていうことがあります。

食べ物にも、「五味五色」があり、これらをバランスよく食べることは、健康を維持する上で大事だと言われています。
五味:酸味、苦味、甘味、辛味、塩味
五色:青、赤、黄、黒、白

各臓器によい作用をする五味五色があるとも言われています。
肝臓:酸味のある、青色の食べ物
心臓:苦味のある、赤色の食べ物
腎臓:塩味のある、黒色の食べ物
肺:辛味のある、白色の食べ物
胃腸:甘味のある、黄色の食べ物

マクロビオティックの考えとは少し異なるかもしれませんが、体調がすぐれない時などこちらを参考に、症状に合う食べ物を食べてみてはいかがでしょうか。

 

マクロビで食べる食材とは?


オーガニックや、ワイルドクラフトの食材、季節の野菜、伝統的な方法で収穫された自然の海藻、伝統製法で作られた醤油や味噌などの加工品や海の塩、刺激の少ないお茶、圧搾方法により作られた植物油、自然の湧水など、昔ながらの優しい食品を取り入れます

できるだけ控える食品としては、肉、食肉製品、養殖された魚介類、乳製品、卵、刺激の強いもの、ナス科の野菜、熱帯高地起源の野菜、飽和脂肪の油、精製糖、人工添加物や人工甘味料、熱帯産の果物などがあります。

日本型の食事と言えば出汁ですが、かつおぶしなどは動物性なので使使わず、干しシイタケや昆布などを使います。

これらは陰陽のバランスから、なるべく控えるように言われていますが、柔軟に、無理せず少しずつ減らしていければいいと思います。

 

季節に応じた調理法とは?


先ほどから何度か季節に応じた調理法で料理すると言いましたが、具体的にどんな方法があるかご紹介いたします。

春から夏にかけては、サッと茹でる、蒸す、手早く炒めるなど、あまり時間をかけずに調理します。
秋は少し時間をかけて煮たものや、ゆっくり痛めたものなど、火にかける時間を長めにします。
冬は、煮込み料理など、弱火でじっくり時間をかけ、圧力をかけて調理します。

このように季節に合わせて調理法を変えることも、マクロビオティックの考えです。

 

クリーンイーティング(clean eating)とは?


マクロビオティックと少し似ている考えとして、クリーンイーティングという考えがあります。
1960年代くらいにアメリカで生まれた食事法です。

自然の姿に近い、加工されていない食べ物であるリアルフードや、オーガニックを選び、加工食品や精製された食品を避け、いい油、天然の魚、自然の飼料で育てられた肉を食べるという考えです。
食事は自分への投資。
美容と健康にいいと言われていて、日本でも実践している方はいらっしゃいます。

マクロビオティックよりも、制限されているものは少ないので、始めやすそうなイメージがあります。
しかし、マクロビオティックもクリーンイーティングのどちらもオーガニックやワイルドクラフトなど、自然に近いものを取り入れるというところは同じですね。

 

まとめ
●季節や体調に合わせて食材を選び、合った味付けや調理法を調整する食事を取ることで、健康的な体を作れる。
●栄養は量より質。
●加工食品や添加物の入った食品は避ける。油も質の良い油を使う。

 

今まで食事の大事さなどお伝えしてきましたが、実践していくうちに何かしらの良い身体の変化が見られれば楽しく続けられると思います。
無理してストレスをためるのではなく、健康のために美味しく続けられるといいですね。